ALC外壁のALCとは「Auto claved Lightweight aerated Concrete」の頭文字を取った呼称で、主成分は珪石やセメント、生石灰などが主原料の軽量気泡コンクリートの事です。

基材内部に多量に気泡を含んでいるのが特徴で、ALCやパワーボードの外壁材は管理された工場で生産されて、無塗装の状態で現場で組み建てるのが一般的な施工になります。

目地や開口部のシーリング（コーキング）や外壁の塗装は現場塗装になる為、建て売り住宅などは、安価な材料で施工される場合がほとんどの様です。

• 耐久性が高い　定期的なメンテナンスを怠らなければ、50年位の耐久性があります。
• 軽量　パネル基材内部に多量の気泡を有しているので、コンクリートと比べた場合約1/4程度の重量になります。
• 高断熱性　ALCやパワーボード基材は多孔質で、内部に細かな気泡が多重に含まれ、この気泡が外部からの熱を緩和する事で高い断熱性を実現します。
• 高い耐火性　無機質材料を原料にしていることで、法廷不燃材料として認定されています。

ALC外壁材の改修時のデメリットは、プレートの幅が610mで外壁のシーリング（コーキング）の施工数量が窯業系のサイディングに比べ2倍以上になり、パワーボードは横目地も増えるのでさらに改修数量が増えます。

ALC外壁は２次防水（透湿性防水シートなど）が無く、目地や開口部などのシーリング（コーキング）の経年劣化による雨漏りのリスクが非常に高くなります。

ALCのサッシ廻りのシーリング材は、ALC外壁とサッシ枠とほぼ面一で仕上げられている為、改修時にシーリングを打ち増しで仕上げた場合、1mm程度の充填量になる為、ほぼ意味のない改修工事になります。

下の写真はALCの開口部のサッシ廻りの経年劣化したシーリング材です。

シーリング材の劣化がすぐに雨漏りに繋がるのがよくわかると思います。

下の写真はALC外壁の目地に散水して雨漏り個所を特定する調査中と、目地からの雨漏りの写真になります。

目地のシーリングの経年劣化も雨漏りに繋がる場合があり、ALC外壁には2次防水（透湿性防水シート）が施工されていないのがよくわくると思います。

ALC外壁は、地震や台風、車の通行などの影響で継ぎ目が緩衝しきれない場合、基材にクラックが発生する事があります。

0.3mm幅未満で下塗り材の下地調整材でほぼ埋まる様なヘアクラックは、建物にほぼ影響がない為問題はありませんが、0.3mm以上のクラックの場合は、表面上のシール処理では早期に切れる場合がある為、現況のクラックの幅を広げ、内部までシーリングを充填するUカットシーリング充填工法などの処理が必要になります。

ALCやパワーボード外壁の基材は、内部が多孔質で細かな気泡が幾重にもなっている為、日差しの強い南向きや西向きは日光で急激に温まります。

気泡内部の湿気が急激に温められ蒸気になる事で、塗膜を外側に押し出し、下の写真のように膨れる事を熱膨れといいます。

このような熱膨れを避ける為、ALCやパワーボードの塗装には単層弾性系の塗料は避け、透湿性の高い艶消し塗料をお勧めします。